薬剤疫学分野におけるマスターデータの役割と標準化

薬剤疫学分野におけるマスターデータの役割について説明します。

今回は、用法マスタ(例:朝1回)を例に挙げて説明します。

はじめに、用法マスタを備えている機関は、下記の要件を満たしていると考えます。
(前提として、用法マスタはなんらかのデータベース(電子カルテ、DWH)に実装されていると仮定します)

①入力システムと用法マスタが(ソフトウェア機能により)データベースと連携している
 (例:医師が入力システムで入力する際に用法マスタの中から
  選ぶようにソフトウェアとして実装されている、あるいは標記を選択した
  後に用法マスタを結合するようなソフトウェアが実装されている)

②用法に関して入力する標記は、「用法マスタ」に存在する標記にみ
 限定される。

逆に、用法マスタを持っていない(自由記述やコンビネーション等)
機関は上記の双方を満たしていないことになります。

結果的に、用法の記述方式(標記)は、入力システムの仕様に依存することになります。

入力システムの仕様は、自由記述や定型文言、あるいはそれらの組み合わせで実現されます。

自由記述や組み合わせの場合には、医療者の入力内容に依存するため、

「標記のパターンは日々増え続ける」可能性があります。

このような運用はあまり良い方法とは言い難いです。

そのため、用法マスタが存在しない場合には、標準化は難しいです。

目次

薬剤用法マスタは臨床研究に必要なのか?

臨床研究ではデータの信頼性が必要とされます。

しかし、薬剤の用法データやコメントに信頼性はあるでしょうか?

先ほど説明したとおり、医療者の自由記述が許されるような環境では信頼性に乏しいと思われます。

研究者から見れば、このようなデータは臨床研究には利用しないでしょう。

用法データだけではなく、日本では標準化、標準化、データベース構築、データベース連結!と叫ばれています。

はたしてその方向性は正しいのでしょうか?

肝心のデータベースを使いこなせる人材は育っているのでしょうか?

データベース構築側と利用者側の大きな溝

医療系データベースを構築する立場(病院や大学のシステム管理、あるいは医療情報部)と、利用者(研究者)には大きな溝があります。

最もありがちなのは、データベース構築側が研究者の立場に立てていないケースです。

「なんとなくこのデータは研究に必要だろう。まちがいない。」

「おれは医者だからわかる。このデータは研究に必要だ!」

ちょっと待ってください!

どのようにして臨床研究に必要なデータを調べましたか?

そのデータは、論文で多く使われていましたか?

以上です。

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